お前の隣は俺の隣

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夏祭り当日


「や、やばい」

「どうしたの?」

やばいだなんて、最近聞いてない美桜の口癖なのに。

「服っ……ない」

「は!?ない??」

「全部……洗っちゃった。

どう……しよう………」

「んもぅー」

夏祭り当日って言うのに…私服着て行くとは。

「あんたはほんとっ女子力低いよね!!」

これは、美桜が一番嫌いな言葉。

この言葉を言うと強がりになるんだけど、

今日は……違った。

「低いくて…。悪かったわね。」

「……浴衣でいーなら貸すけど?」

「全然いい!」

美桜はこう言うところは可愛いから。

ついイジりたくなる黒坂の気持ちは分かる。

「可愛くしてあげる。」

こうなったら、黒坂を惚れさせよう!

「美羽は…浴衣着ないの?」

可愛い瞳で見られる。

ほんとはね、この子凄い弱虫なんだよ?

元地味女なんだ。


毎日のように泣いてた。


語ってもショーがないよね!

よし

「私も着るよ!」

「だ、だよね!!」

でも今は…彼氏いるし。友達もそれなりにいるみたいだし。

幸せそうだから良かったって思ってる。

まあ、ほとんどは私だよね!!
 
…なんて嘘。

………黒坂だよ。美桜を幸せにしたのは。