――――――梅雨の真っ只中。桜が若葉に変わる頃。
窓の外は緑、緑、緑。
蒸し暑いったらありゃあしない。
窓側の一番後ろという席も、窓が近いだけあって、じめっとした生ぬるい暑さだ。
頬杖をついて外を無情に眺めていた俺は、太陽の光が眩しく、顔を附せる。
―バシッ!
「なに寝てるのよ!新!」
「……」
頭をノートで叩いてきた女――嶺崎 真由(ミネザキ マユ)をうざったそうに見上げる俺――連城 新(レンジョウ アラタ)。
五月蝿い女。それが彼女の第一印象でもあり、今も尚、思い続けている彼女の印象だ。
「ちょっと、聞いてるの?新。」
「聞いてるっつーの。……朝からうるせぇ」
「何よ、その態度は!」
キーキーキーキーと、猿かよ、こいつは。