─ザアアアアアアア



ただただ無情に降り続ける豪雨。



深夜の繁華街の路地裏、倒れる無数の血だらけの男達。



そこに一人だけふらり、と立つ男。


真っ白のワイシャツに白いズボン、それに比例した黒いパーカーに漆黒の髪。



フードから覗く漆黒の瞳は虚ろだが、その顔立ちはとても端麗だ。



美少年、と呼ぶべきだろう。



彼には赤など一切ついていない。




─ピチャリ




ふと、聞こえてきた水音に彼はふらり、と顔をあげる。




「ヤト、いくよ」





近付いてきた白髪(はくはつ)の男。


黒いワイシャツ、黒いズボン、それに比例して白いパーカーをきたこちらも端麗な顔立ちの男、つまり、ヤトと呼ばれた彼と真逆の格好をした男は微笑みながら鼻歌混じりに呼ぶ。




「ナト」




彼はそう一言、呟くようにいうと、その場を後にした。





──これは、ほんの序章に過ぎない出来事だ。