帰りのSHRが終わって、柚月はバイトがあるとそそくさと帰ってしまった。
私は自分の机に突っ伏して、帰るにも怠くて動けないでいた。
やる気が出なくて、スマホの画面を眺めていると、一通のメールが届いた。
佑樹だ。
急いで確認すると、案の定真弘くんの事が書かれていた。
《今日から弟が転校したんだけど、もう会った?》
会ったもなにも、後ろの席だよアホ。
と心のなかで嫌味をつぶやいて、《多分だけど、会ったよ。》とだけ返事をした。
後ろの席を振り返ると、真弘くんはもういない。
教室には誰もいなかった。
校庭から野球部やサッカー部の声が聞こえる。
冷たい風が窓から入ってきて、カーディガンの長い袖に手を引っ込めた。
バッグを持って、家に帰ることにした。
帰るって言っても、一直線に帰るのも暇だと思って、駅前の本屋に寄ってみることにした。
窓から街行く人たちが見える。
気になっていた雑誌の最新号が出ていたので手をとってパラパラと捲る。
真弘くんは私が佑樹の彼女だって、お兄さんの彼女だって気がついてるのかな。
朝からずっと考えていた、彼は知っているのだろうか?
そんなことを考えていたら雑誌の内容なんて頭に入らなくて、本屋から出ようと出入口の自動扉に向かった。
ウィーンと機械音をたてて扉が開くと同時に足早に本屋から出ようとした、その時。
――ドンッ
何かに突っ込んでしまった。
って、自動扉の前に何かあるなんてオカシイ。
顔を上げれば、なんか見たことある光景が。
「あんた目ついてないの?」
真弘くんが私を見下ろしていた。

