近くて、遠い。



「…なにしてんの。」

飽きれたような声が聞こえてきて後ろを振り返ると、やっぱり飽きれたような顔をした真弘くんが、ガラスと向き合って前髪をいじる私を変なものを見るような目で見ていた。

「あ、こ、こんにちわ。」
私は苦笑いをしていう。彼も「どうも。」とだけいう。

「なんで今日呼んだの?」
私が疑問をぶつければ、彼はいつもの冷静な目で私を見た。
そして、小さくため息をつくと、一歩ずつ歩き始めた。

「あんたに会いたかったからだよ。」

前を見たまま言った彼の表情は見えないけど、多分表情一つ変えないでそんなことを言うんだろう。

私は彼の後をついていった。
どこに行くのかしらないけど、真弘くんは目的地に真っ直ぐ歩いて行く。