近くて、遠い。




ファミレスに入ると、窓際の席に座っていた佑樹が私に気がついて手を降ってきた。
私より先に待ち合わせ場所にくるなんて、よほど暇だったのだろうか。
それほど彼は時間にルーズだし、最近なんて3時間待っても来ないことがあった。


「加子、こっち。」

私は彼の向かいの席に座ると、お冷を持ってきた店員にアイスティーだけ頼んだ。

「それだけでいいの?」
「うん、お腹すいてないから。」

彼が既に食べ始めていたミートソースのスパゲッティを見ながら言った。

待ち合わせしてたのに、先に来て先に食べちゃうなんて…。
なんて思いながらすぐに運ばれてきたアイスティーを一口飲む。


「真弘とはどう?仲良くなった?」
「転校してきてから一週間も経ってないのに、まだわからないよ。」
「そりゃそっか。」

佑樹は私の目を見て話そうとしない。
彼はいつからこんな冷たい人になってしまったんだろう。


「帰る。」

そう言って立ち上がると、驚いた顔を擦る佑樹。

「はぁ?!ってか聞きたいことあったんじゃねーのかよ?」
「あったけどもういい。これアイスティー代。」

財布から千円札を取り出して乱暴に机に置く。
怒った顔していたくせにすぐに機嫌を直して、「あっそ」とだけいう佑樹に目もくれずに、私は一直線に店を出た。


「…真弘くんのこと聞きたかったのに…。」

深くため息を付いた。
もう出会った頃の佑樹はいないんだろうか。