真弘くんは冷たくそういった。
彼はクールな人だと思う。何事にも冷静そうだ。
って言い方をしたけど冷たい気がする。
何処か刺があるような。
「ま、真弘くん、ごめん。」
私は慌てて後ろに下がろうとする。
だけど真弘くんに腕を引っ張られてしまった。
「きゃっ!?」
また真弘くんに激突してしまう。何事かと思い真弘くんを見ると、すぐ横を人影が通りすぎた。
なんだ、人が来ていたのか。
「前に後ろにしそがしい人だね。」
バカにしたみたいに言うと、彼の手が腕から離れた。
「ご、ごめん…。」
さすがにいろいろ恥ずかしくなって真弘くんの横を通りすぎていこうとしたら、今度は手首を掴まれた。
今度はなんだろうと振り向くと、そのまま本屋の中に引き釣りこまれ、後戻り。
「あんたどうせヒマでしょ。ちょっと俺に付き合いなよ。」
「え!?ちょっ…、」
彼は前を向いたまま私を手を離そうとはせずぐいぐいと本屋の奥に引っ張っていく。
離されそうにない手に観念して、私は真弘くんの後をついていった。
真弘くんの手が離れたのは、本棚の前だった。
小説がずらりと並んだ本棚の前で私は隣に立って本をパラパラ捲る真弘くんの横顔を眺めていた。
なんでこんなことに…。
真剣そうに本を見ている彼に話しかけようとは思えない。
うるさいとか言われそうだし。
ってそんな人かもどうかもまだわからないんだけど…。
今のところそんなことを言いそう。
「ねぇ、真弘くん。」
「うるさい、ちょっとだけ待って。」
ほらね。
顔には出さず、心のなかで笑った。

