「あ、あの、忍くん...?」


私は恐る恐る声をかける。


忍くんは鋭い目で睨み

「あーあ、ほんと鈍いなぁ!」



私を壁に押しやった。

私の真横には忍くんの手。


これが噂の壁ドン...?
にしては暴力的だよ!?



「へ、あ、あの...」


「俺はね?
こう見えても男なんだよ。
君に可愛い可愛いって思われるの、一番腹が立つんだ。」


どうしよう、変なスイッチ押したよね。
絶対変なスイッチ押したよね!?


「これから可愛いとか思ったら殴りとばすからね...?」


忍くんの身長は私の身長より下なはずなのに。
なんだろう、すごい威圧感。

「は、はい...
わかりました...」


そう言うと、彼は満足したように私の横から手をどける。

「あと...周りにはもっと気をつけろよ...」


ぷいっと忍くんはそっぽ向く。
少し耳が赤いような。


「やっぱかわいい...」

私は口に出したことを後悔。
すぐさま口を抑える。


「...このこと、誰かに言ったらただじゃおかないから。」



忍くんは殴りとばすなんてことはしないで、その場を去っていった。