樹一「零。

君は一人で背負い過ぎではないのか?」


飛行機が旅立ち、少し経ってから隣に座っている樹一は言った


あたしは窓に向けていた目を樹一の方に向けた


零(凛)「何、突然?」


あたしははぐらかす


樹一「零は気付いてなかったかもしれないけどさ、あのイケメン君と話したあとから零の様子可笑しいよ?」


確信をついた言い方をする


あたしはあの後も普通に接していたつもりだ


でも、心の中が乱れていたのは自分でも理解していた


だけど、あたしはそれを表に出さないようにしていたつもりだ


樹一「別に言いたくなければ言わなくてもいいよ。

でも、一人で抱え込むには限りがある。

俺も昔、一人で全部抱え込んでいた。

そのせいで、俺は壊れかけた。

だけど、助けてくれた人がいる。

俺はその人のお陰で壊れずにいる。

そして、愛する人に出会った。

俺はその人に感謝してもしきれないほどの恩がある」


樹一はそう言って、幸せそうに微笑む


零(凛)「そっか。

あたしはすべて抱え込まなければいけない。

それがあたしが出来る償いだから、、、」


あたしは外の方に目を移し、小さな声で言った


樹一「零が抱えているものは俺が考えているのよりも大きくて深いんだろうね」


樹一は悲しいそうな声質で言った


なぜ、樹一がそんな悲しそうなんだろう


あたしと過ごした時間なんてほんの少しなのに、、、


樹一「零にも、いつか救ってくれる人が現れるよ」


今度は優しそうな声質で言った


それからあたしたちは何も喋らずドイツに到着した