凛(零)「さて、改めて自己紹介とするか」


あたしは出発してから、隣に座る樹一に言った


凛(零)「あたしは間宮零。好きなように呼んで。

こいつは、麓氏玖籠。ま、気にしなくていいから」


あたしは玖籠を、指を指し軽く自己紹介した


樹一「もう知っていると思うが、俺はウライヤ・樹一・シュベルシ。

樹一でいい」


零(凛)「とりあえず、安心して。

ま、家族に会えるまで安心は出来ないか」


あたしは苦笑いしながら言った


零(凛)「これから空港へ行って、そのままお前の家族の元へ行くから。

病院でも、なんの異常はなかったから安心しろ」



あたしは足を組み、前を見ながら言った


樹一「そっか、、、」


樹一がホッと安心した顔をしたのを横目に見えた


本当に家族を愛しているんだな


樹一「なんで、俺たち家族にそこまでしてくれるんだ?」


樹一はあたしの顔を真っ直ぐ見ながら言った


零(凛)「理由なんて簡単だ。

表の人間は表に返す

それだけだ」


あたしは樹一の目をみて言った


表の人間は表に返す


裏の人間は裏に返す


ただそれだけだ


樹一「俺は昔、、、」
零(凛)「知っているよ」


あたしは樹一の言葉に重ねて言った


樹一「なら!!」


樹一は声を荒げる


零(凛)「違う。

あれは、裏に足を突っ込んだってことにはならない。

だから、お前はまだ表の人間だ」


ある事件で樹一は裏に関わってしまった


でも、あれはほんの少しだけ関わっただけだ


だから、まだ表の人間だ


樹一「でも、、、」


零(凛)「骨の髄まで浸かっているあたしが言うんだ」


あたしは自嘲気味に笑った


そんなあたしの顔を玖籠がミラー越しに見ていた


零(凛)「それにお前が裏の人間だったら調べたときにすぐに出た筈だ。

でも、出なかったということは表の人間ということだ。

あたしの情報網だと、どんな些細な裏の人間でも出るからな。」


あたしは不敵に笑った


玖籠「零、もう少しでつくぞ」


樹一は何か言いたげだったが、玖籠に言葉を搔き消されたため言えなかった


零(凛)「あぁ」


外を見ると、空港はもう目の前だった


車が止まるまで、車内は誰も言葉を発さなかった