「えー、今回の中間テストで赤点を取った奴は、今日の放課後に補習だ」




『えぇ~っ』




私のクラス2年4組の担任であり、数学の担当教師でもある渋谷先生の一言に教室のあちこちから不満げな声が上がる。





「えぇ~っ、じゃないだろ?そもそもうちのクラスはテスト結果が両極端すぎるんだ。
毎回学年20位以内に入るトップクラスの奴ら以外は、ほとんど毎回学年ワーストクラスってな。
しかも数学教師が担任のクラスで数学が1番赤点率高いってどういうことだ?
……とにかく、びっちり補習を受けておらうからな」




先生の言う通り、2年4組のテスト結果は見事なまでに両極端なものだった。
クラス39人中17人は毎回学年20位以内に入るも、残りの22人は毎回ワーストクラスに入っているのだ。
それも毎回、割合も一切変わらないというのがまた見事なことで。
更に毎回、渋谷先生の担当教科である数学の赤点率がダントツで高い。



渋谷先生はその結果が気に食わないために、毎回鬼のような補習のメニューを組んでいる。




(まぁ、私には無縁な話だけどね)




私は毎回全教科100点満点の学年1位だ。別にこれは自慢でもなければイヤミでもない。

私にとっては、それが当たり前。それだけのこと。

補習なんて無駄なものに参加したことはないし、今後も参加するつもりはない。




……はず、だったのに。




「あ、そうだ、天宮」





「はい」




「お前、補習の監督やってくれ」




(はあああぁぁぁぁぁ?)