2階元進路指導室。そこが相談室の場所。つまりくぅちのテリトリー。


中に入れば白い壁を挟んで、教室にある机と同じようなものが向かい合わせに並べられている。もちろん、相談者のプライバシーを守る為、顔は見えないようにしてあるのだ。


「次の方、お入り下さい。」

準備を済ませ、いつものように服の皺を摩りながらくぅちは丁寧な口調でドアの向こうへ話しかけた。

やがてガチャリとドアが開く音が鳴り、コツコツと靴を鳴らし一人の生徒が向かいの席に着席したのを、くぅちは感じ取った。

くぅちはよし、と気合を入れるかのように胸元のロザリオをギュッと握りしめる。まるで神のご加護を受けるかのように。