「柾斗は?まだ決めてねぇの?」


「あ-…まぁ、うん」


歯切れの悪い返事をして俺は何となしに外に目を向けた。


窓際一番後ろというなんとも嬉しい席から見える空は、ちらほらと散らばる真っ白な雲がゆっくりと流れる晴天。


「お-い、柾斗サーン。」


白滝の呼びかけに適当に返事をしつつ、俺はひたすら流れる雲を目で追っていた。


やがて始業の予鈴がなり、白滝は渋々といった感じで席に戻った。


担任の声も遠くに聞こえる。


「バスケ………か」


呟いた声は春の風に遮られ、誰にも届かない。