待ち合わせは、神社の境内。
遠くから、祭り囃子が聞こえる。
神社に参拝する人も増えてきて、境内も
混み始めた。
琉聖くん、見つけられるかな?
もうすぐ待ち合わせの時間だけど、まだ
琉聖くんの姿がない。
家族連れ、友達同士、恋人同士、沢山の
人が、私の前を通り過ぎて行く。
琉聖くん…
待ち合わせ時間が過ぎて、不安になって
きた。このまま、一人だったらどうしよ
う。
もしかして、待ち合わせ場所、間違えち
ゃったかな?
その時、うつむいている私の前に、誰か
が立ち止まり、頭の上にポンと大きな手
が乗せられた。
顔を上げてみると、浴衣を着た知らない
男の人が立っていた。
『…あの?』
「やっと見つけた」
『…へ?』
「見間違えたよ」
『…?!』
『琉聖くん?!』
「ん?似合うな、一華」
『琉聖くんだ!!』
思わず飛びつくと、ギュッと抱きしめて
くれた。
サラサラと風に揺れる、長い前髪から、
シャンプーのいい香りがする。セットし
てない髪、初めて見た。
着崩した浴衣姿も、カッコイイ。
「オマエの前、何度か通ったけどな、気
づかなかった。別人みてえだな」
『へ?私も気づかなかった』

