琉聖くんは、とうとうイヤホンを外して

しまった。


そして、私の左耳のイヤホンも、スポッ

と抜いた。くすぐったくて、鳥肌が立っ

た。


「もっとこっち来い」

『歩きにくい』


「生意気だな」

『だって…』


「だって何だよ」

『恥ずかしい』


私の返事を聞くなり、肩を抱いた手に力

を込めると、自分の方にグッと引き寄せ

いきなりキスをしてきた。


『…ん!ちょ!』


私が抵抗すると、左手を背中に回し、右

手で頭を抱えて、強引にキスを続ける琉

聖くん。


逃げられない、息が苦しい。


ハア、ハア、ハア


真っ赤な顔で、息を乱す私の顔を見て、

琉聖くんは、満足気に笑った。


「その顔、好き」

『ひどい』


「苦しそうだな」

『だって、息が…』


「オマエ、もしかして息止めてんの?」

『え?うん?』


「アホだろ。鼻で息しろよ」

『ええっ?!琉聖くんに、鼻息がかかる

もん』


「それでいんだよ。マジでキスしたら、

こんなもんじゃねえぞ」

『ふええ、怖い』


「俺に唇あずけりゃいんだよ」

『そ、そ、そうなの?』


チュッ


「そうだ」


みんなの視線を感じた。こんな道の真ん

中で、大胆過ぎるよ。