「如月、客だよ」
「俺に?」
放課後、クラスの男子が、少し焦った様
子で琉聖くんを呼びに来た。その男子は
目が泳いで、オドオドしている。
なあに?その挙動不審な感じ?!
琉聖くんは、心当たりがないみたいだっ
たけど、不良仲間と連んで、教室から出
て行った。
誰なんだろ?客って
何となくイヤな予感がした私は、後を追
って教室を出た。
…そういうことか。
イヤな予感が的中した。この前のバイク
の二人組と、その仲間らしき不良達だ。
1、2、3、4人?
琉聖くんは、風で髪が乱れるのを気にし
ながら、いつものように、カバンを肩に
乗せて歩いていた。そして、不良達の前
を通り過ぎようとした時、その中の一人
に呼び止められた。
「おー、逃げる気か?」
「はあ?」
「テメエ、調子乗ってんじゃねえぞ!」
「あん?誰だアンタ?」
「んだと!!」
相手の一人が、胸ぐらを掴んでタンカを
切ってきた。その時、琉聖くんの連れが
その男に殴りかかろうとしたけど、琉聖
くんはそれを制止した。
「俺の、客だよ」
琉聖くんは、軽々と相手の男の腕をひね
り上げ、ズルズルと校外へ引きずってい
った。

