「俺と華島さんは、知り合いだよ」


成宮さんのカミングアウトに、仲間達は

ざわついた。


「俺、中学の時、陸上で長距離やってて

さ、部活が終わると、隣り町の公園まで

走るのが日課だったんだ」


「その公園に、犬の散歩にくる可愛い子

がいて、その子に逢えるのがすげえ楽し

みだった」


「大会の一ヶ月位前かな、もともと弱か

った膝の調子が悪くなって、公園の遊歩

道で立ち尽くしてると、その子が声をか

けてくれたんだ」


「俺がわけを話すと、その子はわざわざ

家に戻って、見ず知らずの俺のために、

シップを持ってきてくれたんだ。そして

陸上部のマネージャーをしてるから慣れ

てるんだって言って、手際よく手当てを

してくれた」


「ほんと天使だと思った。清楚で可憐で

優しくて」


「それから俺達は、顔を合わせると挨拶

するようになって、時には話しをしたり

することもあった」


「その子は、家に居たくない、犬と公園

を散歩してる時が一番幸せと言ってた」


「その子の名前は、桜井 葵ちゃん」


「葵ちゃんは、突然、公園に来なくなっ

てしまったから、高校で再会した時には

めちゃくちゃ嬉しかった」