「そうだったのね。たぶん、その人よ、
私の大好きな人。付き合って、もう二年
になるの。自分の気持ちに、気がついた
時、どうしていいか分からなかった。好
きで好きで、どうしようもなくて、叶わ
ない恋だって分かってても、止めようが
なかった」
『葵さん…切ないね』
『私は、恋愛経験も無いに等しいし、本
気で人を好きになったことも無いから、
葵さんの気持ちを分かってあげられない
けど、でも、自分をコントロールできな
くなってしまうのは、何となく分かる気
がする』
『例えばそれが、世間の常識から外れて
いたとしても、好きでそうなったわけじ
ゃないし、たまたま好きになった人が、
結婚していたってことなんだって思う』
『誰かを傷つけてしまうって分かってて
も、どうにも止められない気持ちがあっ
て当たり前だと思う』
「一華ちゃん、ありがとう。でももう、
限界かもしれない。こんなはずじゃなか
ったのに。辛くて、悔しくて、素直にな
れない自分がいて。寂しくて、髪を染め
たり、タバコを吸ったりして、自分をア
ピールしても、虚しいだけだった」
「前の自分に戻りたい、恋を夢見てた頃
の純粋な自分に戻りたい。今日、卒アル
を見てそう思ったの」

