不良にならなきゃ★始まらない?!


「じゃあ、また明日ね」

『うん、バイバイ』


途中で紗夜と別れると、私はまたゆっく

りと歩き始めた。


ん?あれは…?!


50mくらい先に、スマホを操作しなが

ら、ゆっくり歩いている葵さんを見つけ

た。葵さんもこっち方面だったんだ?


『葵さ…』


声をかけようと思い、早歩きで近づいた

けど、葵さんの顔を見て、思わず言葉を

飲み込んだ。


葵さんは、泣いていた。


声をかけようか、かけまいか悩んだすえ

私はそっと声をかけた。


『葵さん?』

「一華ちゃん?」


『あの、葵さん、どうしたの?』

「うん、目にゴミが入ったみたいで」


きっと違う。さっきの悲しそうな表情は

ニセモノじゃないもん。


『葵さん、私、ぜんぜん頼りないけど、

心配でしょうがなくて。何か私にできる

ことはないかな?』


「一華ちゃん…ありがとう」


「…あのね、実は、男とケンカしちゃっ

て」


『葵さんっ、話してくれてありがとう。

男とケンカ?って、彼氏と?』


「んー、彼氏って呼んでいいのか分から

ないけど、大好きな人かな」


いつか見かけた、あの人かな。


『私、葵さんとその人が一緒にいるとこ

見かけたような気がする。でも、見間違

いかな』