今日も、紗夜と待ち合わせ。私が終わる
のを待っててくれる、優しい紗夜。本が
大好きだから、いつも図書室で暇つぶし
をしていてくれる。明日から、応援練習
に入れるって、一番に教えなきゃ!
『紗夜…』
静かな図書室。窓際で本に読み入ってい
る紗夜に、小声で声をかけた。
「一華、終わったの?」
『うん、待たせてごめんね』
「 ううん、大丈夫。帰る?」
『うん!』
紗夜は、読んでいた本にしおりを挟むと
カバンの中に入れた。私達は、出来るだ
け音を立てないように、静かな図書室を
後にした。
『あのね、紗夜、明日から、応援練習に
入れることになったの!』
「ほんと?良かったね!!一華、ガンバ
ったもんね、えらい、えらい!」
『うん、やっとだよ。明日が楽しみでし
ょうがなくて!』
「私も楽しみ!耳をすまして一華の声を
探すから」
『うん、ガンバる!!』
「うん、ガンバるのだ!!」
『「きゃはははは!!」』
帰り道、私達は、周りから引かれるほど
はしゃいでいた。とにかく、ワクワクが
込み上げてきて仕方なかった。自分だけ
仲間はずれのような気がして、琉聖くん
を恨んだりもしたけど、今思えば、みん
なと距離をちぢめるため、琉聖くんが仕
掛けた作戦だったのかもしれない、なん
て思えるほど、気分は上がっていた。

