琉聖くんは、誰よりも遅く来て、誰より

も早く帰る。今日も授業が終わらないう

ちから、ガサガサと帰り支度を始めてい

た。友達もまだ出来ないみたいで、いつ

も一人だ。


そう言えば、どうしてうちの高校に編入

してきたんだろ?前の学校で、問題でも

起こしたのかな。何も話してくれないか

ら、想像ばかり膨らんでしまう。


授業が終わると、みんなは一斉に帰り支

度を始めた。琉聖くんはもうすでにいな

かった。教室は一気に騒々しくなって、

みんなはそれぞれの目的や予定へと流れ

て行った。私はクリームあんみつを食べ

に行く約束をしていた。


「一華、行こっ」

『うん!』


親友の紗夜と教室を出ようとした時、窓

際にいた男子達の「フゥー!!」という

歓声と、バイクを吹かす音が、同時に耳

に入ってきた。


「一華、見て!」


紗夜に促されて、窓からグランドを見下

ろすと、二台のバイクが爆音を立てなが

ら、校門を塞ぐようにグルグルと回って

いた。


『何なの、あれ?』

「暴走族?他校の制服よね?」


「どうする、一華?」

『行ってみよ』