紗夜を渡すもんか!!


負けずに、男の手から逃れようと、私は

必死でもがいた。


助けてと叫べば、誰か助けに来てくれる

かもしれない。でも、そうできないのが

強がりな私の、厄介な性格。それでも、

男の力には敵うわけもなくて、もがき続

けていた。


「きゃっ!!」


紗夜の叫び声がして、驚いて振り返ると

そこにはなんと、琉聖くんと仲間達が立

っていた。


私を掴んでいた男に、琉聖くんの強烈な

蹴りが一発入った。それに続いて、堕威

の蹴りが一発、葵さんのビンタが一発。

もう一人の男にも、仲間達の蹴りが一発

ずつ。


最後に、琉聖くんが低い声で


「散れ」


と言うと、チャラ男達は這うように車に

戻り、逃げ去って行った。


どうして?


もう、不良はやめたのに?


自己中な考えで、黙って離れていった身

勝手な私を、どうして助けてくれたの?


『助けに来てくれたの?』



「一華は、仲間だし」



うっ…琉聖くん。


「チチか、オマエ、アホだろ?一人で何

が出来る」


…堕威。


「一華ちゃん、強いのね」


…葵さん。


「オマエ、マジ、アホだな」


…みんな。