ヒラヒラと舞い落ちる、雪の華。


琉聖くんが毎日送ってくれたこの道で、

何度も、何度も、キスをしたっけ。


抱きしめられると、大好きな香水の匂い

がしてきゅんとしたり、移り香に包まれ

てドキドキしたり。


ポロリ


薄っすらと雪の積もった、アスファルト

に、涙が一粒落ちた。


ポロ…ポロ…ポロポロ…


こぼれ落ちる涙で、アスファルトの雪が

溶けて、白に黒の水玉模様が浮かび上が

った。




「なんで泣いてる?」



『…う…っ…?!』



「ただいま、一華」



『…琉…聖…くん?!』



『もう…逢えないかと思ったよ…』


「ばあか、一華は、俺の嫁になんだろ?

挨拶回りに思いのほか時間がかかって。

離れていても、総長は俺がやることにし

たよ」


『うっ…うっ…そうだったんだ。行く前

にちゃんと教えてくれなきゃ…ダメじゃ

ん…それにまだ…お料理…美味くできな

いよ…』


「ごめん…」


「料理は、愛情がこもってりゃいい。オ

マエが居てくれたら、それでいいよ」


『…うっ…ありがとう』



「好きだよ、一華」



夢じゃないよね?


純白の雪の華が、フラワーシャワーのよ

うに私達に降りかかった。


「一生、側に居ろよ」

『うん、琉聖くん、大好き』