「今すぐ押し倒したい」


ポカッ!


「テメエ!マジ押し倒す」

『きゃああー!!』


ポカポカポカポカポカポカ


「叩き過ぎだろ。大人しくしてねえと、

壁に追い込んで、イジメまくるぜ」


『ご、ごめんなさいっ!』


「いや、マジ火ついたわ」


もう閉店してまった、近くのお店の壁に

私は追い込まれた。


車が通る度に、カタカタとシャッターの

揺れる音がして、二人の影が数秒間だけ

ライトアップされる。


琉聖くんは、左手は壁につき、右腕は横

にして鎖骨の辺りに当て、私の自由を奪

った。


恥ずかくて下を向くと、前から覆い被さ

るように私に迫り、鎖骨の辺りにあった

腕を上にずらし、顎を持ち上げた。


そして私は、服従の姿勢になった。


『…ん…っ!』


無抵抗な私に、何度も何度もキスをする

琉聖くん。


息をつく間もなくて、必死で鼻から息を

吸った。


ハア…ハア…


琉聖くんの息づかいが荒くなって、苦し

そうで色っぽい、ため息が聞こえた。


唇も、心も、溶けてしまいそうだった。


車が通る度に浮かび上がる、重なり合っ

た私達の影。


闇夜の中で、琉聖くんに征服される、私

がいた。