「おら、練習始めるぞ!」


みんなは、自分の位置に戻ったけど、私

は納得いかなかった。龍斗くんに、何度

も傷を負わせたヤツらを、ほっといてい

いの?ただの逆ギレじゃない!龍斗くん

が可哀相だよ。今にもブチキレそうな、

私の表情に気づいた琉聖くんが、耳元で

言った。


「一華、堪えろ」


ガゴーン!!!


「おっと失礼」


相手のリーダーが、太鼓を蹴り倒した。


「琉聖さんよ、駅伝の応援団するそうじ

ゃねえか。潰さしてもらうよ、その駅伝

大会」


「それがいやなら、今すぐ頭下げて傘下

になれや」


みんな怒りで震えている。琉聖くんも、

歯をくいしばって、堪えているのが分か

った。


「やれるもんなら、やってみろよ」


「関係ねえヤツらまで巻き込むような、

クズ以下のグループと手組む気は、サラ

サラねんだよ!!」


卑怯だ。琉聖くんが手を出せないのを分

かってて言ってるんだ。今、喧嘩して揉

め事を起こしてしまえば、うちの学校は

出場停止なってしまう。まともに喧嘩し

たら、琉聖くんに敵うわけがないから、

龍斗くんをダシにして、こんな卑怯な手

を使ってくるんだ。