「それじゃあお互い、がんばりましょう。」
「2回は勝ってくださいよー。せっかく今回は同じブロックなんだから。」

相校のコーチが互いの肩を叩きあっている間に、部員たちは先に校門へわらわらと行っていた。

「明出ねえの!?」
「うん。ていうか本来なら一応女子である僕が男子の大会に出ること自体あり得ないからね。そんな驚くことじゃないからね。」

時雨坂の田辺の頬を引っ張りながら、だから僕は大会に出ないよ、と話せば、時雨坂の2年みんながえーだのつまらんだのとぼやく。

「アキラさんってそんなに強いんすか?」

それまで静かに話を聞いていた永谷がふとしたように、側にいた谷川に問いかける。それまで各々で雑談をしていた時雨坂の人たちは、そういえばなんて言いながら僕を見る。まああのミニゲームだけじゃ判断つけようもないか。
谷川はうーんと唸り、他の奴らもうーんと唸った。僕は気にせず呑気に欠伸をかます。

「強いってか…明のプレーって面白いんだよな。」
「そうそう。こないだの1on1がいい例だな。」