Breblly I 〜オオカミとアカずきんは恋をした〜

あの時の私は自分の大切なもの全てなくなってしまうと思うと、息が出来なくなるくらい苦しかった。今でも、時々思い出すと痛くなる・・・。
でも、私にはまだ光が残っていたんだよ。それはな?・・・アカ、お前がすでにターナのお腹の中にいたからだ。
あの時初めてターナに告げると、その透き通る瞳を揺らしながら嬉しそうな顔をした・・・。
「私の・・・・子?」
「そう。」
「私の・・・・。」
「戻りなさい。お前の赤子にもよくない。」
「でも・・・。」
ターナは心配そうにチラリとジャスを見た。
あの時、ジャスは私の想いに分かったのだろうか?それとも、ただのお人好しで赤子の心配をしたのだろうか・・・?
ジャスはターナをしっかり見つめてから少し悲しそうに微笑んだ。そして彼女の背中を私の方にめがけて優しく押した。
「戻りなさい。」
「え・・・?」
「俺たちは元々側に居るべきところが違ってたんだよ。だから・・・。」

ブレブリーの花たちが、どこまでも青く輝いているように見えたー・・・・

「そうね・・・、そうよね・・・・?」
彼女は涙を目に溜めて、花のように優しく微笑んだ。
「さよなら・・・。」


その後は屋敷に帰っても何も変わることなく三日が過ぎた・・・。
「心配なさらなくてもこの子はちゃんと産みますから。」
「あぁ。」
「この国の未来のため。私達の大切な子ですものね?」
ターナはまるで何もなかったかのような笑顔を私に向けた。だか、私は笑えなかった・・・。私の子だと思っていてもジャスとの子だったらどうしようと不安になっていたからだ。
私達は、結婚したその日の夜の内に契りを交わすという決まりがあったのを覚えているだろう?私とターナが結婚したのは三十二日前・・・、ジャス達が結婚したのは三十五日前だった。そして、私達が再会したのは私とターナが結婚した次の日なのだよ。
「医者は何て?」
「ちょうど妊娠一ヶ月ですって。」
「・・・そう。」
ターナはあの日からジャスの名を口に出したことはない・・・。彼女がどう思ってたか今となっては分からないが、お腹の中にいたお前をずっと愛おしそうに優しく撫で下ろしていた。
「おれの子だといいのだが・・・。」
「何か言いましたか・・・?」
「いや・・・・。」