「王様!!新しい情報が入ってきました!」
「今度はどこに行った?」
「ゴヤの山です。」
ゴヤの山だと・・・!?
「あそこは獣で溢れている死の山ではないか!?」
「しかし、その山に入ったとの情報です。」
私は深く椅子に腰を掛け、ため息をついた。
一体、奴は何を考えているんだ・・・?自ら死の山に入るとは馬鹿としか思えん。
「以前送られた隊員の二倍で送らせますか?」
「いや、そんなことをしたら逆に目立ってあいつらの獲物になるだけだ。」
「ですが、少数にしてしまいますと・・・・。」
「生きて帰って来る可能性はほぼゼロ・・・まるで格好の獲物だな。となると最後の方法は・・・・。」

・・・王家の血を引くもの・・・・

「だめです!!王様は国を支えていかないとなりませんのに、お一人などで死の山に行かれるなど奴らの獲物になるのは確実です!!」
「だか、少なくとも手出しは出来ないはずだ。」
獣は血で反応する。王家の血を引いているものが入ればある程度の獣は近づいては来ない。
「ですが、それが効くのはあくまでも一部の獣だけです。死の山には肉に飢えた凶暴な狼たちが沢山います。それではやはり危険です!」
・・・・確かに。
獣にやられることは避けられたとしても、その先で狼たちに会わないとは限らない。ましてあんなに大きく深い森だ。逆に会わない方が凄い。
生きて帰れる可能性は増えても20%あるかないかぐらいだ。
ではどうするのが一番正しい?
私が自分のヒゲを手でいじりながら考えているとルイスが言いにくそうに私に問いかけてきた。
「・・・あの、そこまでしてでもあの者を探さないといけないのですか?御自分の体を張ってでも何故・・・。」
「・・・・。」
何度でも蘇ってくるあの日の光景・・・。
「・・・私は、アカが産まれたあの日の夜からずっと探していた。もう十五年も経つのに今だに罪から逃げているあいつが許せない・・・。ターナを死に追い込んだあいつが・・・・。」
思い出しただけでじわじわと怒りが湧いてくる。
忘れたことがない・・・。忘れるはずがない。
「王様・・・・。」
私は怒りを閉じ込めるようにカップを手に取り、それをゆっくりと口に運んだ。
「もし・・・私があいつを捕まえたとしたら取る行動は一つだろう・・・・。」