―――――7月中旬―――――
「はぁ・・・・・」
6年生になって、何度目のため息だろう。
転入生の所為で、4月~今まで、
・・・・だるい。
今までは、外で寝るだけでストレス解消できたのに。
それでは間に合わなくなってしまった。
ず~っとイライラしっぱなしだ、畜生。
「和陽元気ないね~」
友紀が和陽の頭をなでながら言った。
「・・・あったら普通に座ってるだろ」
和陽の体勢は、
上半身が机の上、
下半身は机の下、
足は机の外、
腕も机の外、
というような状態だった。
誰がどう見ても、ダルそうだ。
「そんな和陽にビッグニュース♪」
「なに?保健室ベッド使い放題?助かるなぁ・・・」
「まだなにも言ってないよ♡」
友紀には冗談が通じない。
それが分かっていて、冗談を言った。
「あのね、『兼頭海』いるでしょ?」
「いるねぇ・・・・・・・・・・・」
「・・・ため息と一緒に言葉を吐き出さないで」
「・・・・・・で?」
和陽は本当に元気がないようだった。
友紀は頬を膨らませる。
「・・あのね、あの子ね、」
「うんうん」
「私の初恋の人だったの~♡」
「へぇ~」
初恋ねぇ・・・と和陽は呟いた。
友紀と言えば、誰もが『恋多き女』と答えるだろう。
そのくらい、恋多き女なのだ。
その女の初恋って・・・と和陽は首をひねらせた。

