「・・・・劉」
「・・・なに?」
和陽が全然話を聞いてくれなくて、劉が困り果てていたところに、和陽が口を開いた。
「泊めてくれる?」
「え゛・・・」
「そしたら、許してあげる」
「う゛~・・・・」
劉は、和陽に機嫌を直してほしかった。
けど、血の繋がっていない男と女が一つ屋根の下、二人きりなど・・・・。
「・・・今日、だけだからな」
いろいろ考えたものの、和陽に嫌われるのは避けたい。
・・・・・一日だけなら、大丈夫だろう。大丈夫だ。大丈夫。
そう、自分に言い聞かせた。
一方、和陽は満面の笑みを浮かべている。
「とりあえずお風呂♪」
「とりあえずってなに!?後でなんかあんの!?」
ニヤリ
これぞ悪人の笑みの手本であろうというような笑みを浮かべ、和陽は洗面所に行った。
一方劉は、何が起きても動じないよう、座禅を組み、精神統一をしていた。
心の声(劉):大丈夫、大丈夫・・・。小学生なんだから、そんなことしない。・・・ってそんなことってなんだよ!?あ・・・いや・・・・なんでもないなんでもない。平常心、平常心・・・。え~っと・・・あれ?そういえば、布団ひとつしかないぞ?う~ん・・・・今日はソファーで寝ようかなぁ・・・・。
「一緒に寝ようね~!!!」
洗面所から大きな声が聞こえた瞬間、劉は少し前のめりになった。
心の声(劉):いやいやいやいや!!!そりゃないっしょ!!あ~・・・・・そういえば、和陽は晩飯買いに行ってたんだよな(現実逃避)。つまりは今腹減ってるわけだ(現実駆け足逃避)。よ~っし!!おいしいの作っちゃおう(現実全力逃避)!!!
劉は勢い良く立ち上がり、台所に行った。
冷蔵庫には肉や野菜、冷ご飯があったので、栄養バランスを考えて色とりどりのメニューを考えた(現実無視)。
和陽を驚かせてやろう。
劉はそう決心し、引き出しから包丁を取り出した。

