「独りは、もうやだ・・・・」
涙で震える声も、震えている声も。
ちっぽけな子供のように見えて。
自分と、重なって見えて。
「・・・・・・」
「・・・襲われてるとき、少し思ったんだ」
「なにを・・・?」
「独りよりは、この人に襲われているほうが良いんじゃないかって」
コイツは、俺と同じだ。
『いい子』になりたくないのに『いい子』になるしか方法がなかった。
ただの、子供。
「俺が、あの場所にいたのは・・・・」
「・・・?」
「お前が、つらそうな顔をして出かけてたからだ」
「つらそう・・・・だった?」
和陽は、きょとんとしている。絶えず笑顔を作っている和陽にとって、それは『ダメ』なことだったらしい。しかし、劉は言葉を続けた。
「そうだ。そう見えたから、追いかけた」
「・・・私、走ってた」
結構暗かったから、早めに買い物を終わらせようと思って。
劉は、頷いた。
「そう。だからなかなか追いつけなかった」
「で、オジサンに捕まった」
「で、警察に通報した」
「・・・なるほど」
思ったよりも、劉は早くから和陽を見つけていたようだ。
和陽の頬が、だんだん紅潮してきた。
「どうかしたか・・・?」
「つまりさ、劉は私が脱がされてるのを普通に見てたって事?」
「んなわけあるかよ、オッサンに声が届かないところで通報してたの!!」
「あ、そっか」
バレちゃ意味ねぇじゃん、と劉はため息を洩らした。
劉は、オッサンがそういう趣味とは考えずに、とりあえず危なそうだったから通報したんだ、と和陽が拗ねている横で、頑張って説明をしていた。

