ベリッ!!
劉は、和陽の口に張られていたテープを、勢い良くはがした。
「イデッ!!」
和陽は、劉に抗議の声を上げる。
「なんで勢い良くはがす!?」
「・・・黙ってろ」
劉は、和陽の服を丁寧に着せていた。
「あ、ありがと」
和陽は、服をすべて着せてもらうと、お礼を言った。
劉は、和陽の頬をペロ、と舐めた。
「なっ・・・!?」
「涙があった」
「・・・・・・・・・」
あったら舐めるのかよ、お前は。
和陽は、劉の眼をじぃ~っと見た。
「どうした?」
「・・・解いてくれないの?」
和陽は、手足を軽くバタバタさせた。
「・・・もうすぐ、警察がくる」
「・・・襲われたなんてニュースにされたりしたら、や」
「じゃ、とりあえず逃げるか」
警察のサイレンの音量は、一定の位置から変わらなくなった。
犯人を、取り押さえているのだろう。
「よっ、と」
「にゃ!?」
劉は、和陽をお姫様抱っこした。
和陽は、思わず声を上げる。
「暴れるなよ」
劉は一言、そういうと、猛スピードで雑路を駆けていった。

