「Warum bin ich in Ihrem Haus?(なんで俺はここにいるんだ?)」
「・・・今度は何語だよぅ」
「ドイツ語」
「・・・お前何ヶ国語話せるんだ?」
「さぁ?」
ここは、海の家。
ここに来た理由は、他でもない。
バカップルを演じるためだ。
「Quelle est la raison?(理由は?)」
「・・・何語?」
「フランス語」
今ここで何をやっているかというと。
・・・・取っ組み合いである。
理由は、することがないから。
「Yo soy una mujer.(俺は女だ)」
「どこ?」
「・・・スペイン」
こんなのんきな会話をしていられている自分が不思議だ。
・・・・・海に、馬乗りにされている状態なのに。
「Abaixe.(下がれ)」
「・・・?」
「・・・ポルトガル」
なんで国名を言わなければならないのか、不思議だった。
「とりあえず、退いて」
「や」
海は子供のように、首を横に振った。
・・・・・・あれ?
和陽は、海が乗っているところがなんとなく熱いことに気付いた。

