羽ばたけなくて

ヨウの手を握り締めたまま、

私はゆっくりと後ろを振り返る。

訊きたくもない声。

中学3年の時、

一番最初に私を罵倒した古澤君が、

あの頃と変わらない好奇な目で私とヨウを見ていた。

「ふ……古澤君……」

徐々に顔が強張っていくのが自分でも分かる。

だって、そこには古澤君以外にもう1人

ニヤニヤした顔をして立っていたから。

「久し振り、大塚さん。」

「ひ、ひーちゃん……」

そう、かつて私の親友だった仁美が

古澤君の隣に寄り添っていたのだ。