羽ばたけなくて

こんな安陪君を私は好きになったんじゃない。

口数は少ないけど、心あったかい人だったはず。

そんな事を思っていると、

「普通じゃねーヤツに告白されても、

 ちっとも嬉しくねーよ!

 やめろよ! 俺のこと好きになるな!

 気持ち悪ィ!」

―――普通じゃねーヤツ。

今、安陪君は確かにそう言った。

安陪君もみんなと同じで、

私がバカだと思っていたということなのだろうか。

私のこの想いはキモチワルイものなのだろうか。

弟のヨウが人とは少し違う個性を持っている

ただそれだけなのに、

ヨウだってみんなと同じ1人の人間なのに、

ヨウとその姉である私はみんなから見たら

“キモチワルイ”のだろうか。

全身の血の気が引いていく。

その場に立っていられなくなり、

私はその場にへたり込んだ。

そんな私の姿を軽視しながら、

淡い片想いの相手だった安陪君は

教室から走り去ってしまった。