羽ばたけなくて

私の精一杯の告白を訊いた安陪君は、

表情一つ変えずにただただじっと

私を見つめ続けている。

しばしの沈黙。

私の乱れた息遣いだけが虚しく教室に響く。

“返事はいつでもいい”

そう私が言おうと口を開けた時だった。

それまでぴくりともしなかった安陪君が、

急に笑い始めたのだ。

まるで笑いのツボにはまった時のように。

ゲラゲラと品のない声をあげながら。

予想もしていなかった安陪君の姿に

私は戸惑いを隠せなかった。

ただ、お腹を抱えて笑い続けている阿部君の姿を

見ることしか出来なかった。

どれくらい笑い続けただろう。

ようやく笑い終わった安陪君は、

お腹を抱えたまま私に向かって

耳を疑うような言葉を告げた。