羽ばたけなくて

「なんだよ、美園。あらたまってさ。」

大志がサイダーを口に含みながら

軽くこたえる。

「別にそんな前置きいらなって。」

私も美園の方に顔を向けながらこたえると、

美園は目を輝かせニンマリとした顔をしながら

言葉を続けた。

「もう入学して3ヶ月が経ったしさ。

 ボチボチ、

 気になる人なんて出来たんじゃないの?」

突拍子もない質問に、

大志は思わず口にしていたサイダーをふいた。

ゴホゴホと咳をする大志の背中をさすりながら、

私は美園の思わぬ質問に鼓動が早まっていった。