羽ばたけなくて

「宿題、忘れたの?」

投げかけられた言葉にびくんと身体が反応する。

私はゆっくりと振り返った。

すると窓際にいる安陪君が

私を指差しながらじっと見ていた。

指差された私の手には宿題。

顔が高揚していくのを感じながら、

私は思い切って口を開いた。

「う、うん。そう。

 宿題、引き出しに置いてきちゃって、取りにきたの。」

「取りに戻るなんて、エラいじゃん。」

思わぬ安陪君の言葉に私は喜びを隠せない。

まさか、こうして安陪君が

こんな私に声を掛けてくれるなんて思ってなかったから。

私は嬉しさのあまり、

今までしまい込んでいた

安陪君への想いが堰を切って溢れはじめた。