羽ばたけなくて

「あ、安陪君……」

私の胸がドクンと音を立てる。

誰もいない教室に安陪君と2人きり。

その状況に、私の鼓動はどんどんと早まっていく。

かろうじて聞こえる程の小さな呼び掛けに、

安陪君は静かに私を見つめた。

そうだ。

きっと安陪君もみんなと同じで、

こんな私となんか話したくなんかないはず。

そう思いながら、

私は端に追いやられている自分の机に向かい、

素早く引き出しから宿題を取り出した。

せっかく2人きりになれたけど、

これ以上私がいたら安陪君の迷惑になる。

私は足早に教室のドアへと向かい、

開けようと手をかけた。

その時だった。