羽ばたけなくて

その日、学校から帰宅した私は、

部屋の机に向かい出された宿題に

取り掛かろうとカバンに手を入れた。

その時、学校に忘れてきたのに気付き、

慌ててそれを取りに戻った。

出されていた宿題は

その日までに仕上げることになっていて、

たとえ翌日朝早く行ってやっても

間に合わないほどの量があったのだ。

息を切らしながら教室のドアをガラッと開く。

そこには窓から外をぼうっと眺めている

1人の男の子の姿があった。

もう日が傾き始めていて空が綺麗な茜色に染まっている。

その淡い夕日に照らされた影が

ゆっくりと私の方へ振り向いた。