羽ばたけなくて

“あいつに触るな”

“バカな菌がうつる”

“姉弟揃って、この学校から消えろ”

同学年の口から

次々と耳を塞ぎたくなる言葉が飛んできた。

正直、そんな学校には通いたくなかった。

でも、私はそんな罵声を浴びながらも

毎日学校に行った。

誰のためでもない。

自分のため。

私自身、その無数に飛んでくる

心無い言葉に負けたくなかった。

もしその言葉を受けて登校拒否してしまったら、

私がヨウの存在を否定してしまう気がしたから。

数え切れないほどの傷を心に負いながら、

私は暗い顔を一度も見せずに登校し続けた。

しかし、同学年の人たちは

そんな私の行動が面白くなかったのだろう。

ある日私がいつものように登校すると、

目を疑うような光景を目の当たりにした。