羽ばたけなくて

「あーあ。涼のヤツ、

 とうとう言っちゃったよ。」

「大塚さん、もしかしてまだ気付いてなかったの?」

「みんな、何気なく避けてたのによ。

 ま、涼だから仕方ねぇか。」

「やっぱり弟が“ああ”だから、

 お姉ちゃんも飲み込みが遅いのね。」

「危ねーぞ! 大塚に触るとバカになるぞ!」

「障がい者の姉貴も、やっぱり普通じゃねーんだ。」

わざと私に聞こえるように

みんながガヤガヤとはやし立てる。

みんな、本当に何言ってるの?

今まで一緒に遊んだりしゃべったりしてたじゃない。

それなのに……

呆然と立ち尽くす私の目から一筋の涙がこぼれ落ちた。