羽ばたけなくて

ヨウが中学に入学してから、

それまで仲良く過ごしてきた同級生が

少しずつ離れていった。

私がいつもと変わらず、

「ひーちゃん、おはよ。」

と明るく声を掛けても、

“ひーちゃん”こと森野仁美(もりの ひとみ)からは、

「あ、あぁ。うん、おはよ。」

と、なんだかとても歯切れの悪い返事がかえってくるのだ。

これは仁美に限ったことではなかった。

クラスメイト、いや、学年中にその現象は広がっていた。

その180度変わってしまったみんなの態度や雰囲気に、

正直、私はついていけないでいた。