ヨウのこの汚れのない真っ白な心が

私はとっても好きだ。

どんなことにも染まらないシミ一つない綺麗な心。

私の、このひどくすさんで黒ずんでしまった心を

どうしたらヨウのように戻るだろう。

そんな事を考えながらも、心の隅では諦めていた。

ヨウがさりげなく私の手を取る。

「お姉ちゃんと一緒に歩くの、僕大好き。」

ヨウの真っ直ぐな言葉に

私はなんだかくすぐったく感じる。

でも、素直に嬉しい。

「私も、ヨウと一緒なのが嬉しい。」

私の言葉にヨウの顔は一層柔らかくなっていく。

あと数分で児童館に着く頃だった。

突然、私たちの後ろから

訊きたくもない声が飛んできた。

「あれぇ? あの有名な大塚姉弟じゃね。」

大塚姉弟―――

その響きに私の背筋が一気に凍るのがわかった。

散々言われ続けて、

そして邪険に扱われたあの頃。

その時の記憶が一瞬の内に頭の中に広がっていった。