家の近所にある児童館には卓球台が2台置かれている。

私たち姉弟はことある度にそこへ行っては

“勝負”という名のじゃれ合いをしているのだ。

「ごちそうさまでした。

 お母さん、これから部屋で課題やってくるね。」

食べ終えたお皿を重ね合わせながら

私はお母さんに声を掛ける。

お母さんは「うん」とだけ言い優しく微笑んだ。

食器をキッチンへと運び終えると

私は自分の部屋へと向かった。

本当は学校から課題なんて出ていない。

でも、そうでも言わないと

部屋に行く理由が見つからない。

パタパタと階段を駆け上がり、自分の部屋へと入る。

すぐに音楽プレーヤーの電源を入れ、

好きな音楽を聴きながらベッドへ横になった。

「また、雅也と話せるかな……」

そんなささやかな願いを呟きながら。