羽ばたけなくて

私はふと時計をみた。

ここに入ったときから比べると短い針が3個分、

進んでいた。

女性職員の手招きに私はパタパタと走り寄り、

急いでその部屋を出た。

と、目の前にお母さんとヨウが

笑顔で揃って待っていてくれた。

「お待たせ、羽衣。時間掛かっちゃってごめんね。」

おかあさんが優しく柔らかく私を包み込む。

「お姉ちゃん、お待たせ!」

ヨウもまた、いつもの元気な声を掛けてくれる。

その声にホッとして、

私はそれまで無意識に張っていた緊張の糸をほぐした。

「じゃ、帰ろうか。」

お母さんの言葉に私は小さく頷いた。

ヨウもまた「うん」と言い、ニッコリと笑った。