羽ばたけなくて

中に入ると女性職員が「こちらです」と、

私たちの先を歩き始めた。

私たちはその後について歩く。

1階の奥にある部屋の前で女性職員が止まった。

どうやらその部屋が面談の場所のようだ。

女性職員にお母さんとヨウだけ部屋に入るよう指示され、

私はその向かいの部屋で1人待たされることになった。

時計の針の音が異様に大きく響く無機質な部屋。

先ほどの女性職員が退屈しないようにと

少しのお菓子とジュースをくれた。

私はそれをちょっとずつ食べながら、

ただひたすら終わるのを待った。

どうか、無事に終わるのを心の中で祈りながら。

窓の外から見える空の色がだんだんと変わり始めた頃、

部屋のドアをノックする音がきこえた。

「お姉ちゃん、お母さん達のお話、

 今終わったからね。」

あの女性職員が私に優しく微笑み、手招きした。