羽ばたけなくて

校長先生と話をしたその日の夜。

私は前の日と同じように

リビングにいる両親の会話に耳をすませた。

面談の結果次第で小学校に入学できるかもしれない。

少しでも可能性が出てきたのなら、

それに全てを賭けよう。

そうお母さんは決心し、

市役所に電話をし、

児童相談所の職員と連絡を取ったそうだ。

幸い、希望時間が空いていたようで、

1回目の面談日が次の日の午後に決まったそうだ。

「まだ校長先生から“許可”は下りてないけど、

 でも“検討”してくれるそのわずかな可能性を信じたいの。」

お母さんは視線を真っ直ぐお父さんへ向けて言う。

その言葉にお父さんはしばらく黙り込み、

そして深く1回頷いた。

「そうだな。きっぱり断られた訳ではないんだ。

 その面談で1%でも入れる可能性があるのなら、

 やってみよう。」

お父さんは静かに、でもしっかりとした口調で言い、

まるで自らを奮い立たせているようにみえた。