羽ばたけなくて

お母さんは電話台の引き出しにしまっていた

手紙を取り出し、

ダイニングテーブルの上にそっと置いた。

「あなた。今日、

 羽衣の小学校からヨウ宛に手紙が届いたの。」

そう言うお母さんの声は少し震えているように思えた。

お父さんはお母さんと視線を合わせると、

差し出された手紙を手に取りじっと読み始めた。

みるみるうちにお父さんの顔が強張り、

手紙を持つ手ががたがたと震え始めた。

「なんなんだ、これは一体!」

お父さんが声を荒げて手紙をテーブルに叩きつける。

静かな表情しか見たことがなかった私は、

その反応に心臓が飛び出そうなくらいに

バクバク音を立てて暴れ始めた。

荒々しい息遣いのお父さんに向かって、

お母さんが慌てて口に手を当てて

「静かに。子ども達が起きちゃう」と囁いた。

その言葉にお父さんは手を合わせて謝る。