羽ばたけなくて

物静かなお父さんからたまに発せられる言葉には、

言霊が宿っているかのように感じられる。

今のだってすごく短い言葉だけれど、

お父さんのいろんな思いが

たくさん込められている気がする。

それを感じ取ったかのように今度はお母さんが、

「本当に良かったわぁ。」

と言い、お父さんとは対照的に

私をそっと柔らかい言葉で包み込む。

そしてお母さんは言葉を続けた。

「羽衣にはヨウのことで中学時代、

 大変な思いさせちゃったから……」

お母さんの目がじんわりと涙で潤んでいる。

その言葉に私の心がズキンと痛む。